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みずたまの伝言

高村智恵子の紙絵

ここ北東部は2-3日前から突然涼しくなり、夜などはヒーターが入るようになりました。もうこのまま秋になってしまうのでしょうか。

さて、高村智恵子の本です。高村光太郎の「智恵子抄」でもお馴染みの智恵子ですが、もともとは画家で、それはそれは才能に溢れた人だったようです。これは、精神を病に侵され、入院してから作り始めた「紙絵」を集めた本ですが、智恵子の紙絵、大好きです。私がこの本を買ったのは、まだ20代だったと思いますが、衝撃的でした。それ以来、約30年、手元においては時たま眺めていますが、時代を超えても決して色褪せない創造性にいつも心を打たれます。
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では、少し中身を紹介しますね。
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お花や身近なものを題材にして、最初はお見舞いの包装紙などを使っていたそうです。


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造形のとらえ方がすごく立体的。色もとてもきれい。


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何だか懐かしさを覚えます。


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身近にあるものの観察眼が鋭い。


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精神を病んでも、彼女の創造世界は生き生きとしています。


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マチス風のものもあります。


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お見舞いの品々も題材になりました。


智恵子は、この紙絵を光太郎にしか見せなかったそうです。愛する人にだけ見せたい宝物。 この紙絵を見ると、穏やかな中にも深い愛情と激しい創造への情念を感じずにはいられません。
それと同時に、自分が画家であるがゆえに、希有な芸術家を夫に持ってしまった人間の苦悩が垣間見えるようです。この本には光太郎の手記や詩を始め、智恵子自身の文章、智恵子の闘病に付き添った姪の談話など、読みごたえのある資料が沢山載っています。智恵子を知らなくても、このレトロ感たっぷりの紙絵には、今でも私達を惹きつける魅力があるのではないでしょうか。

「智恵子紙絵」 愛蔵版  ちくま書房
by mizutama_report | 2011-09-19 08:21 | お気に入り